2018年のKOMORIカレンダーは、⾊彩豊かな「紅型(びんがた)」を基調に制作しました。紅型の“紅”は⾊全般を指し、“型”は様々な⽂様という意味で、琉球王国時代から沖縄に受け継がれている伝統的な染⾊技法(⾚を主として、緑⻘⻩などの⾊を⽊綿や上布に染め出す⼯芸技術)です。カレンダー制作の検討段階で、2年前に訪れた沖縄の⾸⾥城などの“琉球⽂化”とある雑誌に掲載された新垣優⾹(あらかきゆうか)先⽣のコラム『⾊彩豊かで繊細な紅型という⼯芸技術品：紅型』に魅せられ、何とかこれを印刷技法で再現したいという思いから、染物（DYE）と印刷技術とのコラボレーションが実現しました。カレンダーのタイトルは「GRACE IN COLOR」、直訳すると”⾊の優雅さ”ということになります。

そして、このカレンダーそのものに「⼩森の事業展開」が幅広く表現されています。表紙は前年に引き続き、デジタル印刷機インプレミアIS29で“4⾊でありながら広⾊域を出せるデジタル印刷”を表現しました。続いてカレンダーの各ページは、全てオフセットH-UV資材を⽤いた印刷で⾏い、⾊鮮やかな特⾊を背景に、中⼼には新垣先⽣の⼯芸作品から特徴的な紅型の図柄を選ばせて頂き、印刷による加飾技術(OPニスやコーターニスをパターンで強調したもの、背景をマット調やザラザラ模様にしたもの、図柄に布⽣地を連想させる細線模様にしたもの)を施し、主題の図柄をより際⽴たせました。特に11-12⽉のページは、⾼光沢で表⾯平滑性のあるシルバコートーニス(Kサプライ、H-UV⽤)を下地にし、その上にカラー印刷と疑似エンボスを組み合わせ、メタル紙に印刷したのではないかと⾒間違うほどキラキラとした上品な作品に仕上げられています。

さらに今回新しく取り組んだ印刷技法に“スクリーン印刷”が挙げられます。KOMORIのグループ会社であるセリアコーポレーションの事業の⼀部をカレンダーの“留め”部に表現しました。これまでこの部分は⽩紙に墨を基調としてオフセットで印刷していましたが、当カレンダーではマット系の⿊紙を⽤いて、GRACE IN COLORのタイトルとKOMORIのロゴを“スクリーン⽩インキ”で印刷、その後(紅型から抽出した)アーティスティックな線画部分を“艶有り墨スクリーンインキ”で厚盛り印刷しています。この部分は⽉が替わっても最後まで残るので⼀年間楽しめます。⾮常に微細な線が再現されていますので、よくご覧頂き直に⼿で触れてみてください。

さて、最終的にはこのようなデザインで完成しましたが、ここにたどり着くまでの過程では、企画段階から、他候補案を含めたデザインレビューコンペを⾏うなど「⼥性の意⾒やアイデア」を中⼼に進められました。いざ“紅型”に決まり制作に⼊ってからも、印刷技法の具体化及び⾊使いなどのデザイン⾯、制作進⾏管理に⾄るまでKOMORIの「⼥性社員」が主体となって実⾏しました。その関係もあり、これまで以上に今回のカレンダーはガラッと印象が変わり、また関係者にとっても達成感のあるカレンダーに仕上がっていると思います。

1985年沖縄県那覇市⽣まれ。沖縄で⽣まれ育ったことで伝統⼯芸である紅型(びんがた)を知り、強い⽇差しにも負けない鮮やかな⾊使いに魅了され紅型作家を志すようになる。沖縄県⽴⾸⾥⾼等学校の染織デザイン科を卒業後、⾸⾥琉染、⽟那覇紅型⼯房、沖縄県⼯芸指導所(紅型コース)を経て2009年に作家デビュー。2011年と2012年に「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」で2年連続⼤賞を受賞。

⽇本美術展覧会(⽇展)⼊選、⽇本新⼯芸展3年連続⼊選など、着実に実績を重ねる。また、ウルグアイや⻄武池袋本店、伊勢丹新宿店などで個展を開催。他にもヒルトン沖縄北⾕リゾートのエントランスに飾る作品を提供するなど、伝統⼯芸という固定概念にとらわれない発想(モチーフ)、技法(重ね型)、材料(グリッター)等により独特の作⾵が⾼く評価されている。

印刷機

• ■ 菊全オフセット枚葉印刷機 リスロンGX40　
•    ● 型式：GLX-640＋C H-UV
•    ● 6 PU + UV Coater + Extended Delivery

• ■ 29インチ枚葉UVインクジェットデジタルプリンティングシステム インプレミアIS29

• ■ 菊全オフセット枚葉印刷機 リスロンS40　
•    ● 型式：LS-840＋C H-UV
•    ● 2 PU + DU + 4 PU + DU + 2 PU + DU + UV Coater +Extended Delivery

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資 材

• ■ Kサプライ インキ
• ■ Kサプライ ニス、他

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用　紙

• ■ 表紙：テイクGA-FS ［株式会社⽵尾］
• ■ 中⾯・奥付：MTA+-FS ［株式会社⽵尾］