Message

制作担当者からのメッセージ


株式会社⼩森コーポレーション
小森グラフィックテクノロジーセンター長
印出 明浩

2017年のKOMORIカレンダーは、「和の絵柄」を基調に制作しました。⽇本の⽂化や伝統が世界的に注⽬されていることや、2020年に東京オリンピックが開催されること も念頭において、⽇本の美の魅⼒を世界に発信することを印刷表現で試みたものです。和の絵柄としては、明治から昭和にかけて絵画と⼯芸の分野で活躍した近代琳 派の芸術家神坂雪佳の版画の中から代表的な作品を選定しました。雪佳の⼤胆かつ洗練されたモダンな作⾵を、現代の印刷技術とのコラボレーションで印刷表現し ました。 カレンダーのタイトルは、KOMORIの事業の変⾰と業務の拡張を表現する「Expansion」。新規事業の象徴でもある「デジタル系の印刷技術を取り⼊れる」ことを制作の 柱とし、表紙にはデジタル機Impremia IS29による印刷を採⽤しました。Impremia IS29の4⾊のUV系インクによる印刷は、プロセスのCMYKインキによる印刷では 表現できない絵柄の⾊域も鮮やかに再現しています。さらに、デジタルデータをベースに表紙の⼀部をレーザーカッターで切り抜き、次ページの「扉」にあたる絵柄と組み合 せて背景が出はいりする斬新なデザインに仕上げています。なお、カレンダーのヘッダーと扉には⼆次元コード(⼩森カレンダー特設ペ―ジにリンク)を採⽤し、カレンダーのデ ザインや印刷技法を確認することができるようにしています。 本⽂の6枚については、UV系オフセット印刷により特⾊インキの使⽤や様々な機能性ニスを組み合わせて印刷表現しています。特に、9-10⽉と11-12⽉の「銀⾊」で表 現されている絵柄は、K-SupplyのH-UV銀インキを使⽤して印刷しています。KGCが印刷を担当した3-4⽉と5-6⽉の絵柄では、⽔⾯やユリの花の縁などを鮮やかに表 現するために⾮常に⾼輝度のコーターニス(銀ニス)を⽤いて部分的にキラキラ感を持たせています。さらに、5-6⽉のアジサイの花は下地に銀ニスを使⽤して銀箔紙の上に 印刷したような効果を出して、上品な仕上がりにしています。また、アジサイの葉の部分にはソフトタッチニスを⽤い、視覚⾯だけでなく⼿触り感の違いも楽しめる技法で印 刷しています。カレンダーの全体的な仕上げとして、⽇本の⽂化の象徴でもある襖や障⼦の和紙や唐紙をモチーフにしたフレームで絵柄を囲う細⼯を施し、版画が描かれ た当時の「和」的空間に想いを馳せていただければ幸いです。